ナース漫画大賞2026 エピソード大賞
「忘れられない看護師さん(患者視点)」部門
大賞受賞作品
悪化していく母と
大学との
両立のなかで
- エピソード提供者
- 瑛 さん
受賞エピソード
2022年9月母が乳房全摘を行いました。腫瘍は葉状腫瘍で次の診察は12月でした。その3ヶ月間で呼吸状態は悪化し肺転移が分かりました。23年1月に緩和ケア病棟に入りました。
緩和ケア病棟に入ってからどんどん母の状態は悪化していました。大学生だった私は大学以外はほぼ母の元にいました。看護師さんよりも家族にそばにいて欲しかった母は、あまりナースコールを押さず、頼み事は全て私にしていました。
その頃授業がほぼ毎日あり、単位をひとつでも落としたら留年だったので病院から学校まで通っていました。電車通学で片道1時間。一限目からある日はまだ暗い時間朝の5時頃に病棟の入口を開けてもらい出発してました。帰りは20時頃で、毎回私のために開けてもらっていました。
病室のソファではうまく寝られず、母が寝てる時間は病棟の家族室(畳の部屋)で布団を借りて寝ていましたが、母が起きるとわたしにLINEで連絡するためその都度病室に戻り母の看病をするため満足に寝られない状態が続き、限界を感じていました。
ある日看護師さんが、私の話を聞く時間を作ってくれました。私の様子を気にかけてくれていたようです。母のそばにはいたいこと、でも毎朝早いし帰りは遅く課題も出る中で睡眠時間はなく辛いこと、母はもっと苦しくて辛いのに私が弱音をはいてはいけないと思うことを話しました。泣きながら話す私を看護師さんは優しく対応してくれました。
「あなたが倒れたらお母さんも安心できない。まずは自分のためにゆっくりする時間を作りましょう」と看護師さんはいってくれました。
そして私の時間割と予想される帰宅時間、母がいつも何時に目覚めてしまうのかなどを整理してくれました。また、母にも看護師さんの方から話をしてくれました。帰りが遅くなる日の翌日に一限目から授業があったりしていたのでそういう日にはできるだけ看護師に頼むよう看護師さんから母へ伝えてくれました。起きてしまう時間帯には看護師が訪室し様子を見ることも伝えてくれました。
そのおかげで5時間ほど睡眠を取ることが出来てすっきりすることができました。
そのように決めて行動したのは2回程で、すぐに母の状態は悪化し亡くなってしまいました。
緩和ケア病棟にいたのは8日間。短い期間でしたが、それでも母のこと、大学のことを抱えていたわたしにはとても辛い期間でした。あの時看護師さんに話を聞いて貰えなければ、壊れていたかもしれません。
母のために頑張りたいと思っていましたが、そのためには自分の休む時間も必要なことを学びました。あの時気にかけてくれた看護師さん達にはとても感謝しています。
今私は看護師として働いています。あの時の看護師さんのように、患者さんのことも家族のことも大切にできる、患者さんと家族を繋ぐ架け橋になれるそんな看護師を目指して毎日頑張っています。